スナック眞緒物語#11


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スナック物語の時間です🕑

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カランコロン
「あら、いらっしゃい」
お店のドアのベルが鳴り、スナック眞緒の店内に眞緒ママの甲高い声が鳴り響く。
「眞緒ママ〜来たよ!」
常連の男性が12月の外気とともにやってきた。眞緒ママがその姿を見てはしゃいだ声を上げる。
「あら!最近よく来てくれるけど、いいの?奥さんや娘さんが家で待ってるんじゃない?」
「大丈夫。スナック眞緒は俺の心のオアシスなんだから!」
そう言って笑う男性に、バイトのまなもが「いつも本当にありがとうございます」と、眞緒ママお手製カクテルを差し出した。
「まなもちゃんに会いたいからね」
男性がいたずらっぽく笑うと、眞緒ママは「ひどーい!私は?」と抗議する。スナック眞緒の店内は笑い声に包まれた。
「でもさ聞いてよ。最近妻も娘も冷たいんだ。まだ5歳なのに、『パパとお風呂入りたくない!』『一緒に寝たくなーい!』って……。挙げ句の果てには、『パパくさーい』だよ。俺、臭いかな……」
切なげに男性が言う。
「職場もでもさ、可もなく不可もなしなんだよな。だからさ、ママのビールだけが癒しだよ」
「あら、そんなこと言っても何も出ないわよ!まあ、でもあなたここに通いすぎだから家族が冷たいのよ。最近毎日来てない?」
眞緒ママが尋ねると、男性は「いやあ」と口を濁す。
「もうすぐクリスマスなんだし、奥さんにプレゼントでもしてみたら?」
眞緒ママがそう提案すると、バイトのまなもも頷いた。
「良いアイデアですね!旅行とかどうですか?友達と行ってきたら?って」
「そういうものなのかな……まあでもそんなに言うなら贈ってみようかな」
そう言って男性は奥さんを旅行に送り出したのだった。

「彼、うまくやってるかしら」
「流石にやってますよ!3日分の朝昼晩ご飯のメニューと、掃除洗濯のやり方はきっちり教えましたし……」
お客さんのいないカフェタイム。眞緒ママとバイトのまなもがお喋りをしていると、お店のドアのベルが鳴った。
「あら、いらっしゃい……ってあらあらあらあら!!」
眞緒ママは驚いてひたすら「あら」と言い続ける。そこには奥さんと娘を連れた男性が立っていた。
「妻が旅行に行っている間家のことをしてみて、大変さに気がつきました。もっと家のことをやらないとなって。だからこれからはカフェタイムにみんなで来ることにします!」
娘が物珍しそうに店内を物色し、嬉しそうにひらがなくりすますのTシャツを着たピクルスを抱きしめる。
奥さんとバイトのまなもはなんとなく目を合わせて、困ったようにくすりと笑い合うのだった。


今日もスナック眞緒は大繁盛♪
 
原案:井口眞緒 文:宮田愛萌
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