スナック眞緒物語#14
スナック眞緒物語のお時間です。
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カランコロン。
「あら、いらっしゃい」
お店のドアのベルが鳴り、スナック眞緒の店内に眞緒ママの甲高い声が鳴り響く。
「こんにちは〜」
入ってきた女性は既に何杯か飲んできたようで、ほんの少し普通より明るい声をしている。
「既にお飲みですよね?とりあえずお水になさいますか?それともカクテルを?」
バイトのまなもが尋ねると、眞緒ママが横から
「ママお手製カクテル出してあげて!」
と口を挟んだ。
「あれ、お2人とも知り合いですか?」
「「少しね」」
ハモった2人は顔を見合わせて笑った。
「それで、今日はどうしたの?なんか悩みがあるの?」
眞緒ママが尋ねると、女性は目をぎゅんと見開いた。
「それがね!子育てが終わって暇になっちゃって、この歳でスナック通いが趣味になっちゃったのよ。もう毎日二日酔いよ!」
バイトのまなもが作ったママお手製カクテルを飲みながら女性はぐるんと目を回した。
「ずっと専業主婦をやってたけど、旦那は趣味に没頭しているし。娘なんてアイドルになっちゃって毎日大変そうなの!」
眞緒ママはそれを聞いてあっという顔をして、にやりと笑った。
「じゃあスナック○○を開けば良いじゃない!まぁ、そんなに簡単なもんじゃないけどね。でもやりがいがあると思うわ。」
「そうかしら」
女性は少し考える顔をして、最後にふふっと微笑んだ。
数年後。
新潟には「スナック第二の母」という小さなスナックを経営する女性がいた。
そしてそこには毎年、年末年始になると暴れまわる、とあるアイドルの姿があるという。
今日もスナック眞緒は大繁盛♪
原案:井口眞緒 文:宮田愛萌
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